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2012年2月18日 (土)

アジャイル型開発

 コンピュータのソフトウェアを作るスタイルとして、アジャイル型と呼ばれる方法が普及し始めているようだ。
私は1979年に、当時ソフトハウスと呼ばれていたベンチャー企業に入社した。
当時は「組織で開発する」というスタイルが、新しい考え方として広まりつつあった。
いわゆる個人の「職人芸的」な開発スタイルを脱却し、要求分析から総合テストに至る工程と、職分によって分業化された開発チームを確立することが求められた。
基幹業務のシステム開発が盛んになり、研究開発型のやり方では到底追いつかなくなったのだろう。
これがウォーターフォール型開発といわれるものだ。
まさに家内制手工業から工場制手工業(マニュファクチャー)への飛躍である。
会社にいた10年間は、ひたすらウォーターフォール型を追求し、硬い岩盤や水脈にぶつかりながらガリガリ掘り進めていたように思う。
そして常に「本当に出来るだろうか」という恐怖感があった。

 それでも、何より有難く幸いなことは、「エンドユーザー部門」にいられたことだ。
中小のソフトハウスが大手に系列化されていくなか、当時の会社は下請けでない部門を残していた。
それが「エンドユーザー部門」で、ユーザーであるお客様から直接仕事を承り完成品を納品する。
開発環境を自分で作れるから、新たに開発した技術を次に生かせるのだ。
毎回一から作っていたのでは、いつまでたっても技術の蓄積はできない。
ましてや、掛かっただけの費用がもらえるような環境では、技術の蓄積など考えもしないだろう。

 技術の蓄積により、1週間かっていた仕事が数時間でできるようになると、お客様の要望を採り入れながら開発できるようになる。
ウォーターフォール型開発では、「仕様の確定」ということが何より大事で、SEの腕の見せ所でもあった。
ところが、いとも簡単に「仕様変更」ができるようになると、そもそも「仕様の確定」は重要なことでなくなる。
そんなヒマがあったら、どんどん試作品を作って見てもらえばよい。
たいてい、すぐに良いアイデアが出て一気に解決だ。
アジャイル型開発の技術的裏付けは、まさにウォーターフォール型開発で培われた技術の蓄積なのだ。

 ところが、最近気付いたことが一つある。
それは、いくら技術的裏付けがあっても、一人一台のパソコン・端末がなければ、アジャイル型の作り方はできないだろうということだ。
昔は、端末をメンバーが交替で使っていて、それ以外の時間は仕様書を書いたり、資料を調べたり、プログラムリストを赤鉛筆やラインマーカーでチェックしたりしていた。
今は、高機能のスクリーンエディタで設計資料からソースプログラムまで短時間に作成できる。
コンパイル・リンクは一瞬で、すぐにテストができて結果も出る。
印刷のテストはPDFプリンタに出力すれば、紙もインクも使わずに何回でも調整できる。
体力さえ許せば、一日中パソコンに張りついていても構わない。
この環境があってはじめて、アジャイル型開発が可能になったのだ。

 技術はこんな風に進歩していくんだなあと実感する。
これから強力なライバルも増えていくだろう。
それでも蹴落とし合うのではなく、力を合わせて尊敬するお客様のために力を尽くしたいと思う。

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