数学

2018年10月21日 (日)

鏡が左右逆に見えるのは、向かい合って映るから

鏡の前に立つと自分が映る。
鏡像の自分は向かい合っているように見える。
左手は左側に、右手は右側に、頭は上に、足は下に映る。
鏡の向こうに見える人が自分の鏡像ではなく、本当に自分に向かい合って立っている人と考えてみよう。
左側に見えるのはその人の右手で、右側に見えるのは左手である。
つまり、鏡は向かい合って映るから左右が反転するのだ。

もし自分が鏡の向こうに回りこんで、鏡像の位置に立ったとしよう。
左手が映っている位置には右手が来るが、上と下は入れ替わらない。
この回り込む操作は「回転」である。
回転操作と反転操作の結果は、上下方向は同じだが左右方向は異なる。
この違いに違和感を感じる人がいるのかもしれない。
上下方向を反転したければ鏡を頭上に置くとよい。

では、なぜ鏡は向かい合って映るのか。
次の図は、鏡で反射した光が鏡像をつくるしくみを表している。

Kagami01

Kagami02

左手の先から出た光が、鏡に反射して目に届く様子を示している。

同様のことは、あらゆる部分で同時に起こるから、鏡の向こうに自分が向かい合って立っているように見えるのだ。

「向かい合って映る」というのは、そもそも鏡の性質なのである。

同様のことは、印鑑や版画、魚拓など「向かい合ってコピーされる」像でも起こる。

これがこの空間の性質なのだ。

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2018年6月 3日 (日)

分数の割り算は逆数を掛ける?

分数の割り算は、「割る数の分母と分子をひっくり返して掛ける」とか「逆数を掛ける」と習う。
これをルールとして憶えて、あとは素早く正確に計算できればOKということだ。
しかし、これでは算数や数学は暗記物になってしまう。
たくさんの公式を憶えて、正確に速く計算するのが数学だろうか?
では、いったい誰が公式を作っているんだろうか?

そこで、分数の割り算について少し考えてみよう。
例として

Photo

について考える。

1を3分の1で割ったらいくつになるか、ということである。

1は3分の3だから

Photo_2

3分の1を単位にしたと考えると分かりやすい。

次に

Photo_3

を考えてみよう。

式で書くと

Photo_4

いずれも逆数を掛けるのと同じ答えになる。

分母を揃える(通分する)ときに割られる数に分母を掛け、分子はそのまま割る数として残るから、結果として逆数を掛けることになる。

この便利な結果を使わない手はない。

「分数で割るときは逆数を掛ける」という方法を知っていれば、意味を知らなくても計算出来るのだ。

これは一種のブラックボックスといえる。

どこまでブラックボックスを受け入れるかは、人それぞれだろう。

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2017年12月30日 (土)

0の0乗について(2)

どんな数でも0乗すると1になる。

これは、1に何も乗じないから1のままなのであって、1×を省略するから理解できないのだ。


だから0の0乗だって、1に0を0回掛けるから1である。
1回でも掛ければ0、1回でも割れば不定となる。


「コンピュータでは便宜上1としている」などという「解説」を見かけるが、実際にプログラムを作ってみると0乗が1の理由がよく分かる。
べき乗のプログラムは、最初に1を設定し、同じ数字を必要回数掛けて答えを出す。
最初に0を設定すれば、何を何回掛けようが0のままだ。
これは便宜上ではなくて、1に同じ数を何回も掛けるという、べき乗のアルゴリズムそのものなのだ。
数学やコンピュータはちゃんと筋の通ったもので、神秘的なものではない。
「0の0乗は0にもなり得る」などといった摩訶不思議な議論が、数学嫌いを生み出しているのではないか。
意味不明の間違った議論につきあおう、という奇特な人は少ないはずだ。

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2017年12月20日 (水)

0乗,1乗,2乗,べき乗について

普通、3の2乗は次のように書く。
 3=3×3
この式は実は省略されていて、丁寧に書くと
 3=1×3×3
と表されるべきだ。
1に3を2回乗じるから3の2乗なのである。
計算結果は同じでも、式の意味はまったくちがう。
3の1乗は、1に3を1回乗じるということだ。
 3=1×3
3の0乗は、1に3を0回乗じるということ、つまり乗じないということだ。
 3=1
1のかけ算や割り算は、式を書くときに省略するので話がややこしい。
0乗が1になることを理解できないのはそのためだ。
べき乗とはそういう演算なのである。
はじめからこのように教えてもらえば、すぐ分かることなのに。
過去の記事
0の0乗について
0乗は1の理由=1に何も掛けないから

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2014年9月12日 (金)

マイナス掛けるマイナスはプラスの理由

掛け算は足し算のくり返しである。
例えば
   2+2+2+2+2 = 2×5 = 10
というように、同じ数の足し算をまとめたものが掛け算である。

ならば負数の場合はどうだろう。
   (-2)+(-2)+(-2)+(-2)+(-2) = -2×5 = -10
負数を「借金」と考えると、わかりやすいだろう。
上の例では、「借金」が 5 つ増えて 5 倍になっている。

掛ける数が負の場合はどうだろう。
   2×(-5) = -10
を例にして考えてみよう。

5 倍するというのは 5 回足すということだが、-5 倍するとはどういうことだろう。
プラス倍は足し算だから、マイナス倍は引き算と考えられる。
つまり、上の例では 2 を 5 回引くということになる。
5 回引くためには、式の前に省略されているものを明示する必要がある。
   0-2-2-2-2-2 = 2×(-5) = -10
マイナス 5 倍とは、つまり( 0 から) 5 回引くということなのだ。

それでは、負数同士の掛け算はどうなるだろうか。
   (-2)×(-5) = 10
を例にして考えてみよう。
この式を引き算に展開すると
   (-2)×(-5) = 0-(-2)-(-2)-(-2)-(-2)-(-2)
となる。
(-2) を引くということは「借金 2」を減らすことだから 2 増えることになる
   (-2)×(-5) = 0-(-2)-(-2)-(-2)-(-2)-(-2)
               = 0+2+2+2+2+2
               = 10
となって、結果はプラスになる。

まとめていえば、マイナスの数にマイナスの数をかけるというのは、「借金」を引き算することだから答えはプラスになるのである。

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2014年8月 4日 (月)

0の0乗について

0 の 0乗は、コンピュータでは通常 1 として扱われる。
これは便宜上のお約束なのだろうか、それとも根拠のあることなのだろうか。
0 の 0乗とは、べき乗の定義から考えると 1 に 0 を 0 回掛けるということだから、答えは 1 である。
答えは明快だが、摩訶不思議な議論が難しく語られているので、もう少し考えてみよう。
0 の 1乗とか、0 の 2乗とか考えていくと、どんな数でも 0 を掛けると 0 になってしまうので、それ以上の情報は得られない。
そこで、とても 0 に近い数のべき乗がどうなるか考えてみよう。
次のグラフは、0.1 の x乗、0.01 のx乗、… 0.0000000001 の x乗のグラフを重ね合わせたものだ。
グラフの作成には、JS関数グラフ作成ツールというソフトを使用した。

Graph_0x_2

カーブがいちばん緩やかなのが 0.1 の x乗( y=0.1^x )で、以降はx軸・y軸に接近していくのが分かる。
数字が 0 に近づくほどカーブは直線的になっていき、軸に密着していく。
もう一点、これらの一連のグラフは x=0 のとき、しっかり y=1 を通っていることもわかる。
べき乗は、整数ばかりではなく小数でも計算できるので、x が整数の 1 や 2 以外のところでもグラフはつながっている。
乗数が小数というのは、たとえば 0.5乗=2分の1乗=√(平方根)という意味だ。
つまり、1乗の半分=2回掛けたらその数になるという意味で、平方根の定義そのものだ。
同様に3分の1乗は3回掛けたらその数になるという意味だから、立方根のことだ。
話を 0 の x乗に戻そう。
0.000…01 と 0 をどんどん増やしていくと、いくらでも 0 に近づくことができる。
「ここまで」という限界はない。
そして、その 0 にものすごく近い数の x乗も計算できて、グラフは必ず x=0, y=1 の点をとおる。
しかしいくら 0 に近い数であっても、けっして 0 ではない。
そして、その「先」にある 0 の x乗はどうなるか。
0 の x乗は定義どおり、x が 0 より大きいときは 0 (x軸)、x=0 のときは 1、x が 0 より小さいときは不定となる。
これは感覚的にも理解できることだ。
0 と無限はつながっている.......。
ここにこそ、これから解明していくべき「不思議」があるのではないか。

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2013年11月10日 (日)

星の12面体~不思議な黄金比の立体~

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カラーアルミのワイヤーで正五角形に内接する星型(五芒星)を12個作る。それらをモチーフとして正12面体を組み立てると、キラキラ輝く美しい星の立体ができる。五芒星(中の正五角形がないので五稜星)は黄金比を数多く含む不思議な図形だ。それを組み立ててできる立体は、見る角度により正三角形や正方形ほか様々な図形が現れる。金属光沢により、図形がいっそう明瞭に見えて美しくとても不思議だ。

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作り方は以前の記事で紹介しているが、モチーフの接着には瞬間接着剤が適しているようだ。うまく作るコツは、星型の寸法を正確に作ることだ。
★以前の記事★ 「ワイヤーで作る正12面体模型(星のモチーフ)」
下の写真はステレオグラムになっているので、立体感を味わうことができる。
(上は平行法、下は交差法)

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2013年9月21日 (土)

フラクタルCGアニメ

カオス・フラクタルCG作品集にフラッシュで掲載していた動画を、wmvファイルにしてYoutubeにアップロードした。ダウンロード待ち時間が短くなり、すぐに再生される。フルスクリーンモードで見ると、かなり迫力がある。

他のCGも動画にして、順次アップロードしてみようと思う。

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2013年5月 2日 (木)

セイロンベンケイソウとフラクタルCG

Benkei02_2Benkei01_2

1990年代バブルのはじめ頃、心斎橋の東急ハンズで「葉から芽」という葉っぱを1枚買った。そういう植物があるのは知っていて、ぜひほしいと思っていたので500円くらいで買ったのだった。それから数年、葉から出た芽が立派な株になり、灯籠のような地味な花を鈴なりにつけた。ベンケイソウ科の植物で、セイロンベンケイソウとか灯籠草とか、いろいろな名で呼ばれているらしい。葉から芽が出るうえ丈夫なので、いくらでも増える。

葉から芽が出る様子はフラクタルな感じで、見慣れるまでは不思議でならなかった。漸化式のフラクタル画像を調べているうちに、セイロンベンケイソウを連想するような図形を見つけた。フラクタルCGは、何かに見える画像がよく現れるが、これもその一つだ。解析的に解くのは得意でないが、雲をつかむような問題にアプローチするのは大好きだから、事実を積み重ねていくうちに、ある日突然ヒントがひらめくかも知れない。

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2012年12月25日 (火)

ワイヤーで作る正12面体模型(星のモチーフ)

Hosi121Hosi122

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Hosi124

Hosi125

針金で星のモチーフを12個作り、それらを組み立てて正12面体の模型を作った。星形の1辺の長さは1cmにした。
正五角形のワイヤー・モチーフで正12面体模型をつくる方法はこちら。
正五角形のモチーフは辺と辺をつないで組み立てたが、星形のモチーフは頂点と頂点を接着して組み立てる。
作り方は次のとおり。
●針金を10cmに切ったものを12本用意する。
●出来るだけ正確に1cmずつ印を入れ、山・谷と交互に折っていくと自然に星形になる。形を整え始点と終点を接着剤で留める。(瞬間接着剤がよい)
●モチーフが12個できたら、5つのモチーフを横につなぐ(扇形になる)。
 接着剤は、セメダインやボンドのような、すぐに固まらないものがよい。
 息をかけると早く固まる。ある程度固まったら、両端を接着して輪にする。
 輪の狭い方の5つの頂点に、モチーフを接着する。これで半分ができた。
●同様のものを、残りの6つのモチーフで作る。
●固まりきらないうちに、ゆがみ等を修正し出来るだけ正しい形にする。
●最後に半分ずつの各頂点を接着すれば、1個の12面体が完成する。
●ひずみ等は、接着剤が固まってしまう前に調整する。余分な接着剤をピンセットで除去して、きれいに仕上げる。
1辺が1cmの星形だから、12面体の1辺は約√3cmになる。
実際には辺のところにワイヤーはないが、隣り合う頂点の距離を測って確認してみよう。
見る角度を変えると、いろんな形が現れてとても不思議だ。

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